私が死んで生まれた日1
パラレルワールド(parallel world)とは、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。並行世界、並行宇宙、並行時空ともいう。[ウィキペディアhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/パラレルワールド]
犬など動物は複数の並行世界を行き来する事ができるようで、よく寝る(お昼寝が多い)のは違う世界へジャンプしているからだという。
私もよく寝る(笑)
これは、私がジャンプしている時の別の並行世界の物語。
《私が死んで生まれる日》1
「きゃーーー!!!」
女性の叫び声と同時に色んな人達の驚く声、耳障りな高い金属音を轟かせてホームをかなり離れてから止まる電車、何が起こった⁈ と様子を見ようとするもの、呆然と立ちすくむもので狭いホームは騒然としていた。田舎の小さなこの駅は規模は小さいが周辺に住宅が多く2駅先にはハブ的な大きな駅があるため平日の昼間でも利用客は少なくない。
「誰か警察に電話して!」
50才過ぎ位だろうか白髪混じりの小太りの女性が声を荒げる、彼女の視線の先にはホームの中央にある休憩所の壁の外側にくっつくように横たわる....人だ。ピクリとも動かない。人が倒れているというのに誰も救いの手を差し伸べないのはよく見たらすぐわかった。壁に背をつけて倒れているはずの体の頭は顔が見えない。壁を見ているのだ。
「こりゃ即死だな....。」
少し離れた所から低い男性の声がした。
ありえない方向にねじれた首に付いた頭部は肩くらいまでの髪がコンクリートのホームにバラバラと扇状に広がっていた。
横たわる体は鮮やかな青緑色のカーディガン、黒いパンツに黒のヒールの低いパンプスを身につけていた。
(このカーディガンの色、好きだなぁ...)
この瞬間、私の脳裏を沢山の場面がよぎった。
就職活動している私....
恋人と口喧嘩をしている私....
お気に入りのカーディガンに腕を通す私....
気晴らしに出かけた私....
駅のホームでスマホを見ている私....
.......................。
私に誰かがぶつかってきた記憶.....
バランスを崩しよろけた私の目の前には凄まじいスピードでホームを通過しようとしている快速電車の窓がみえた.....
...........そうだ。
いま私の前で横たわってるのは......
........私だ。