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私が死んで生まれた日 10-1 【魂の記憶】

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【魂の記憶】
大地から針のように突き出た岩の塔、その先に腰を下ろし眼下に広がる地の表面を眺める。視界の左には乾いた大地が、真ん中には海のように大きな湖、右にはカラフルな植物のジャングルが見える。
この星はとても美しい。
ココには様々な色形の生き物や植物が生きている。
この地を統治する龍族は争いを好まず寛大だ、他星からの移民や難民を受け入れ様々な文化を取り入れて自文化と融合してきた。それゆえ龍族を頼り問題ごとを持ち込む他星人も少なくない。伝統や規律、礼節を重んじていて石頭なところが少々あり気難しいが味方につければ非常に頼りになる、だが一度敵に回せば一族一人残らず消え絶えるまで潰すとういう一面もある。
そんな怒らせると怖いともっぱら噂の龍族の王に助けられて私達はこの星にいる。
私は戦争の中で産まれた。両親は星を守る戦士だった。
両親の住む星は良質な鉱物資源が豊富だった。他星 他民族との交易が盛んで長い間繁栄を極めていた。いくつかの族で資源豊富な土地をそれぞれ管理していた。詐欺や盗みを働く者もいたが族間での争いはなかった。だが、ある日 他の星から資源を根こそぎ奪い取ろうとする者達が現れた。姿形からその者達を蛇族と呼んだ。そのために両親の様な戦いに長けた者を集め、星の資源を守る軍隊が各族の長たちによって作られた。
敵はずる賢く饒舌な嘘つきで味方を装い星の各族へ潜り込み言葉巧みに資源を奪い取ってしまった。小さな争いはあったものの各族同士の仲は良く平和だった私達の星は略奪戦争でカオスになった。蛇族は各族の土地で同時に制圧を開始、長たちを次々と殺害、民を虐殺した。軍の最高司令官も暗殺され部下達にとっては内部から崩されてしまい不意をつかれた形となった。
この時 私の母は軍本部から暇をもらい里帰りしていた。母の一族の土地は各族の土地から離れた所にあり交易先も少なかった為いち早く異変に気づき裏切者と侵入者を捕らえ、母の活躍もあって難を逃れていた。
司令官の側近だった父は戦いながら各族の生き残りと戦友たちを集め改めて部隊を作りかろうじて難を逃れた母の一族の土地へ向かう事にした。先行で数人編成の隊を向かわせ、長へ現状を報告、援軍と救援を求めた。
そんな戦いのなか両親は互いに惹かれ合い結婚、そして私が産まれた。
諜報隊によって蛇族の事がある程度わかったものの突然他星からやってきた為に情報が少ない。しかも長期の戦争で兵の数は減っているはずなのに軍力が全く落ちないそれどころか兵が増えている。何処の星に拠点がありどこから来ているのか、全体でどれくらいの人数、規模なのか謎だった。
あの手この手で攻めてくる略奪者を追い払うので精一杯で長く終わりの見えない戦争で皆 疲弊した。
多くの者が死んでいった。
そして長は決断する。
星を離れ、そして星を略奪者もろとも破壊すると。長く続く一族の悲劇を終わらせたいと...。
そのとき私はもう大人になっていた。

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