下書きメモブログ

小説作ってみました

私が死んで生まれた日 9

視覚の線がプチッと切れたかの様に真っ暗で何も見えなくなり、今は浴室で一生懸命に湿気を室外へ吐き出そうと働いていた換気扇のモーター音も聞こえない。
孤独感がふと湧いてきたが、手にはまだオッサンの手の感触があり目には見えないがまるで今も握ってくれている様だ。不思議と怖くない。
ふと薄明るく青白い紐のような光が見えた。遠くから近づいてきているようだ。紐のように見えた光は蛇くらいまで大きくなり、よく見たらそれは知らない.....文字だろうか?記号だろうか?一列に並んで蛇のようにウネウネと私の周りを回りながら増えていった。今度はランダムに棚に置かれたモニターのようにあちらこちらで画像や動画が現れ、これらもドンドン増えていく。何の画像なのかほとんどわからなかったが、いくつかオッサンに似た人物が映ってるものや見覚えのある景色の画像があった。文字列の蛇や画像達は私を中心に何重もの輪をつくり光を強めたり弱めたりしながらグルグル私の周りを回っている。
何か.....応援されてる様な....急かされてる様な....。
................................。
.........................。
..........ん?
ふとオッサンに言われた事を思い出した。

「なんだ?思い出さんか(笑)失礼な奴だな」

.......ん?
..........。
これ.....。

私の頭の中で何かが弾けた。
靄がかかった視界が一気にスッキリした。
(これ全部私の記憶だ!!!前世のずっとずっと昔からの記憶!)

とたんに何百年もの間の様々な記憶が一斉に蘇りパニック状態になる。
情報の多さに負け脳がパンク寸前だ。
悲しかった事、幸せだった事、色々な感情が押し寄せる中で意識が遠くなっていき....
......目を閉じた。